台風の影響で恐ろしい風が吹き荒れ、ごーごーと唸るような山鳴りで目が覚めました。まだ朝の四時。雨もかなり降っていて、しばらくはやみそうになく、目を閉じて風と雨の音を聴きながら、うとうとと浅い眠りをさまよいました。
嵐の後の静けさ。
過ぎ去った風と雨。置き土産は空気の透明感。
山奥での生活は未だ他人ごとのように実感が薄いのですが、あらためて思い知ることがあります。それは、人間も自然のごく一部に過ぎないということ。当たり前のことですが、ここではそれが、まっすぐに感じられます。植物も、虫も、人も、形は違えど同じパーツにすぎないのだと。嵐の後は、なぜだかいつもそれを思い出します。
恐ろしい音を鳴らしていた山々は、再び静かな自然に戻りました。外の空気に冬がキリッと入りこんでいます。