温かく枯れる

 子どもの頃からスローペースだったせいか、秋は自分がやっと落ち着ける季節という感じが好きでした。風はつめたいけれど、枯れ草や落ち葉の色は今も温かく眼にうつります。

 以前、何かの本を読んだ時、老化していくことは水分が失われていくこと、のような内容が書いてありました。

「なるほどー」

 その時、カサカサの指先を眺めながら、私は深く納得したのでした。そうか、老化は乾燥なんだと。

 

 枯れたものが好き!そうキッパリ言う自信はないものの、嫌いでないことは確かです。世の中の流れは老化も乾燥も「敵」みたいに扱っていますが(もちろん私もそう思わずにいられない時が多いのですが)、じゃあずっと永遠に潤えばいいのか?というと、それはまた別な気がします。変化のないものに魅力を感じないように、やっぱり自然の摂理はうまくできている・・・。

 ま、でも、そうは言っても現実は切実な問題の山(笑)。せめて気持ちだけはカサカサにならないように、心のハンドクリームはちゃんと大事にしたいです。