秋と冬の境目

 自宅を留守にしている間、季節はまたひとつ進み、若い冬が鎮座しているかのようです。遠くに見える山々に雪の白さが初々しく映ります。

 

 いつ冬が来たのか・・・

 

 秋と冬の境目はいつも曖昧で、巧妙なグラデーションのようです。気がついた時にはもう遅すぎて、季節はとっくに衣替えをした後で、今年こそ最初の冬を見つけようと意気込んでも、必ず見逃してしまいます。

 それはまだ小さかった頃、今年はぜったい起きているぞと、大晦日から元旦まで必死に目をパチパチさせて時計を見上げ、けれどもやっぱり睡魔には勝てず「ここから新年」を逃した悔しさに似ています。

 

 実家の庭からもらってきたほおずき。冬が来ても平気と言わんばかりのオレンジ色。その鮮やかさは秋と冬の境目など問題にもせず、ただただ潔く凜としています。

 そろそろ冬の支度をしなければ・・・背中を押された気分です。