10月。
まったくピンとこないまま、秋になっている。庭の桂も桜も
葉を落とし始めている。
ゆっくりゆっくり。
冬への準備。
常に焦っている自分と、外の自然は対極だ。
小さな植物も、大きな木々も、いつだって悠々としている。その堂々たる安定感を目の当たりにすると、些細な日々のあれこれが、ふと、どうでもいいと思えてくる。
そして、そのすぐ後に、ちょっと怖くなる。
どうでもいい。
この言葉に、私は少しだけ用心する。
心の状態次第で、気持ちが軽くなったり、迷いから救われたり、抜け出せたり。でも、使い方を間違えると、決定的なダメージにつながりかねない魔法の言葉。
ここに生きている限り、どうでもいい、と簡単に割り切れるものは、そう多くはない。
季節は冬へと向かう。
どうでもいいとは到底、思えない。夏を迎える時の準備とは違う準備が必要になる。
私が大袈裟なだけなのかもしれない、とも思う。
でも、冬は、あまりにも大きく、力強い。
私もゆっくりゆっくり準備をしよう。
庭の落ち葉を眺めながら、そう思う。