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一番後ろの席

ここに引っ越してきて、もう7年目に入った。

 

バスには本当にお世話になっている。

さて、バスの後ろの席。

どこか別世界のような、一番後ろの座席。そこに座ることができるのは、特別な人たちだと、恥ずかしながらずっとそう思ってきた。

ある時、衝動的に自分も座ってみたいと思った。小樽駅行きのバスの中、一番後ろには幸い誰も座っていない。

「いまだ!」これを逃したら、一生座るチャンスはないような気がした。

驚いた。

座ってみてわかった。なんと、思いのほか快適なのだ。

座席が少し高くなっており、悠々と前を見渡せる。しかも、シートが横長に左右繋がっているので、ゆったり感まである!

 

「あぁ、これだったのか」と納得した。昔々高校時代、少しやんちゃな男子がこぞって一番後ろの席に座りたがったのは、これだったのか、と思った。

なんだか可笑しくなった。食わず嫌いじゃないけれど、これに似た類のことが、私には沢山あるような気がしてならなかった。小さなことでも、自分で実際に体験してみないと分からない。バスの一番後ろの席から、改めて、大事なことに気づかされた。