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3月

なんと、3月。

窓の外では雪が降り続いているというのに。

白い背景の中、小鳥が入れ替わり立ち替わりきている。

 

ぐずぐずと過ぎていった2月。

今年は!と誓った自分への約束は、とっくに大破していた。毎日がただただ流れていく。

父のせいではない。父がいるとかいないとか、そういう問題ではない。

自分を俯瞰しながら、やるべきことは十分承知しながら、なすすべがなかった。

分かっていても、力はどこからも湧いてはこなかった。

自分は強い。そう思っていたのに、なんと脆弱なことか・・・

浮かびそうになりながら、また再び沈んでいく。行ったり来たりを繰り返すだけの寒い季節。

そんな私を立ち上がらせてくれたもの。

それは、古くからの友人が紹介してくれた、まさかの作品だった。

まさか、というのは、それまで眼中にはなかったタイのBLドラマだったこと。

友人は、でも、センスのいい人で、映画の好みはもちろん、洋服や持ち物、些細な感覚が素敵な人だから、正直、「え?」とは思ったものの、必ず観なければ、と心に止めておいた作品だった。

 

この気持ちはなんだろう・・・

 

真っ先に思い出したのは、谷川俊太郎の詩だった。

ドラマを一気に観終わった後、本当にそういう気持ちになった。

脚本も映像も、その演出もカメラワークも、音楽も、全てが素晴らしかった。

そして、まだ自分の中に、こんなにも高まる感情が残っていたこと。

そのことに、心から救われた。

 

まだ大丈夫。

 

そう思った瞬間、涙が溢れた。