わー、気がつけば3月!
こんなはずでは!と、また思う。でもその度に悩むことも最近はバカバカしくて、
とっておきの言葉を取り出す。
「まぁそういうこともある」
さて、今年の山奥は大雪で、これまでとは違う景色を見ることとなった。
その一つ、庭に高々と積もった雪は例年通りだが、桜の樹の枝が大変なことになった。
「え!えーっ?」
最初は何が起こっているのか、理解するまで数秒かかった。
大きな鹿!
白昼堂々、一頭の鹿が桜の樹の枝をガシガシ食べている。ここに引っ越して10年。初めて目にする光景だった。
びっくりした。
しかし、鹿は動じるどころか、むしろ悠々としている。
窓越しに目と目が合った。
逃げるか?と思いきや、なんと再び桜の枝を食べ始めるではないか。肝が座っているのか、単に私が馬鹿にされているのか・・・
それにしても大胆なヤツ。他の仲間はどうしたのだ?自分だけここに来て大丈夫なのか?
状況に慣れてきた私は鹿を眺めながら、色々なことを考えた。
ただ一つわかっていることは、こんなところにまで鹿が来るということは、山に食べるものがない切迫した状況なのだ。
あとで判明したのだが、鹿は桜の枝だけではなく、家人が手入れをしていたイチイの木の枝も、大事に育てていたライラックの枝も、見事に食べ尽くしていた。
生きることは大変なことだ。
人はもちろん。動物も。植物も。
この寒空の下、空腹を抱えて歩き回っている鹿を想うと、どうにも複雑な気持ちになった。
白か黒かで解決できることではない。想いを深追いしたところで、私にはどうすることもできない。
「まぁそういうこともある」
やっぱり魔法の言葉だ。
それでも、モヤモヤと割り切れない気持ちを眺めている自分が、まだそこにいる。
